大分県別府市、湯けむりが立ち込める鉄輪温泉。ここにね、妻と二人でずっと気になっていた宿があるんですよ。それが「冨士屋ホテル」。ただの温泉旅館じゃない、明治時代からの歴史を刻む「文化財」に泊まるという、ちょっと特別な体験ができる場所。
「古い建物って、快適なのかな?」「文化財って敷居が高そう…」「実際どうだった?」
そんな疑問を抱えながら、僕ら夫婦も一歩足を踏み入れてみたんです。予約サイトのレビューじゃ伝わらない、僕ら50代夫婦が実際に感じたリアルな魅力と、正直なところ「ここは知っておいてほしい」って点を、飾らない言葉で伝えていきたい。
この記事が、あなたにとっての「冨士屋ホテル」滞在の背中を押す、そんなきっかけになったら嬉しいな。
鉄輪温泉「冨士屋ホテル」:歴史が織りなす空間で、僕らが感じた“特別な時間”
明治の趣とモダンが融合!「旧冨士屋旅館」と新設ホテルの魅力
鉄輪温泉のシンボルでもある「旧冨士屋旅館」。
明治32年(1899年)築というから、なんと120年以上の歴史がある建物なんですよ。
登録有形文化財にも指定されていて、その重厚な佇まいは、一歩足を踏み入れただけで、まるで時が止まったような感覚に陥ります。
玄関の千鳥破風をあしらった本瓦葺き木造二階建ての外観は、まさに鉄輪のランドマークだね、と妻と顔を見合わせました。
僕らが今回泊まった「冨士屋ホテル」は、この旧冨士屋旅館に併設する形で2025年7月にオープンした新しい宿泊棟なんです。
古い歴史を持つ文化財の横に、最新の木造建築であるCLT工法(ひき板を層状に重ねて作るパネル工法)で建てられたホテル。
この「新旧の融合」が、冨士屋ホテルの大きな魅力の一つだと感じました。
公式サイトにも「またここから百年伝えるホテル」とあるように、歴史を守りながら未来へと繋ぐ、そんな宿の想いが伝わってくるようでした。
チェックインは、旧冨士屋旅館の歴史あるロビーラウンジで。
梅ソーダのウェルカムドリンクをいただきながら、旅への期待が膨らみます。
ただの宿泊じゃない、「湯治」文化を現代的に体験する設備
冨士屋ホテルは「Living Hotel」をコンセプトにしていて、鉄輪の伝統である「地獄蒸し」や「むし湯」といった湯治文化を、現代のライフスタイルに合わせて体験できる工夫が随所にありました。
特に印象的だったのは、館内に設置された「地獄蒸しキッチン」。
屋内10基、屋外6基もの地獄釜が備えられていて、宿泊者は24時間いつでも自由に使えるんです。
妻と体験した地獄蒸しの楽しみ方:僕らは近くのマルシェで新鮮な魚介と野菜を仕入れて、ホテルに戻ってすぐに地獄蒸しに挑戦しました。
温泉の蒸気だけで調理するから、素材の旨みがぎゅっと凝縮されて、驚くほど美味しい。
油を使わないからヘルシーだし、何より夫婦で一緒に「これはどんな味になるかな?」
なんて言いながら作る時間が、最高の思い出になりましたよ。
ただ蒸すだけでなく、「50度洗い」や「低温スチーミング」といった調理法も教えてもらえて、初めてでもワンランク上の地獄蒸し料理が作れるのが面白い。
温泉は、旧冨士屋旅館の建物内にある「竹瓦の湯」と、新設されたホテル棟の「梅見の湯」の二箇所。
特に「竹瓦の湯」は、お湯が瓦屋根のように重ねられた竹筒の中を通って浴槽へ注ぎ込まれるという、珍しい趣向。
ひのきの香りが心地よく、美肌成分のメタケイ酸が豊富な弱酸性のお湯で、全身スベスベになりました。
「梅見の湯」は樹齢120年の梅の木を眺めながら浸かる露天風呂で、夜には星空を眺めながら寝湯も楽しめるとのこと。今回は時間が合わず断念しましたが、次回はぜひ体験してみたいですね。
実際に泊まって見えた「冨士屋ホテル」のリアルな宿泊体験
夫婦で納得!快適さと心地よさにこだわった客室
僕らが泊まった客室は「プレミアムツイン別府湾ビュー」でした。
部屋に入ると、まず目に飛び込んできたのが、窓から見える湯けむりと、その先に広がる別府湾の景色。
この眺めだけでも、日頃の疲れが吹き飛ぶようでした。
特筆すべきは、寝具へのこだわり。
特殊なコインが使われたウッドスプリングベッドは体をしっかり支えてくれて、リネンのシーツの肌触りも最高。
貸し出しの枕も首周りをしっかりサポートしてくれる優れもので、妻も「これはぐっすり眠れそう!」
と喜んでいました。
僕も朝まで爆睡でしたよ。
ガーゼ生地のパジャマも肌触りが良く、快適な眠りをサポートしてくれました。
各部屋には銀座・森岡書店が選書した本が置かれていて、旅先での読書という贅沢な時間も楽しめるのが粋な計らいだと感じました。 小鹿田焼のカップやきつき紅茶など、地元の特産品がさりげなく置かれているのも嬉しいポイントでしたね。
「ここだけは正直に伝えたい」滞在中の小さな注意点
正直なところ、滞在中、ほとんど不満らしい不満は感じませんでした。これだけ素晴らしい宿に巡り会えたことは、旅ライターとして本当に嬉しいことです。
- 食事は基本的に自炊がメイン。地獄蒸しキッチンは素晴らしい体験でしたが、基本的には自分で食材を持ち込んで調理するのが前提です。もちろん、朝食付きプランや、徒歩5分ほどの場所にある「蒸士茶楼」という薬膳地獄蒸しレストランでの夕食付きプランもありますが、毎日外食というのも大変です。連泊でじっくり湯治気分を味わいたいなら、事前の食材調達や、簡単な調理ができる準備をしておくと、より充実した滞在になるでしょう。
- 文化財エリアは歴史的価値を尊重した造り。旧冨士屋旅館の建物はとても美しく、見るだけでも価値がありますが、客室として利用できるのは新設されたホテル棟です。旧旅館の方にはカフェやギャラリー、ホールなどがあり、宿泊者以外も利用できます。歴史ある建物のため、バリアフリーに完全に対応しているわけではないので、足の不自由な方は事前に宿に確認することをおすすめします。
僕ら夫婦は問題ありませんでしたが、歴史的建造物ならではの趣きと理解しておくと良いでしょう。
これらの点は、事前に知っておけば何ら問題なく、むしろ旅の準備を楽しくする要素だと捉えられました。
だから僕は「冨士屋ホテル」での文化財ステイを推したいんだ
鉄輪温泉「冨士屋ホテル」での夫婦旅は、僕らが想像していた以上に、深く、豊かな体験となりました。
単に「文化財に泊まる」というだけでなく、明治の歴史に触れながらも、最新の建築技術がもたらす快適な空間で、鉄輪ならではの湯治文化を現代的に味わえる。このバランスが、本当に素晴らしいんです。
地獄蒸しを二人で囲んで語り合った時間、心地よい寝具に包まれてぐっすり眠れた夜、そして何より、湯けむりの向こうに広がる別府湾を眺めながら、妻と「また来たいね」と囁き合った瞬間。
それは、ただの宿泊では得られない、心に残る特別な思い出になりました。
もしあなたが、ただ観光地を巡るだけでなく、「その土地の歴史や文化に深く触れたい」「夫婦でゆったりと特別な時間を過ごしたい」そう願っているなら、鉄輪温泉の冨士屋ホテルは、その期待をきっと超えてくれるはずです。
「でも、どんな部屋があるんだろう?」「今の時期の宿泊プランは?」そんな風に少しでも気になったなら、まずは公式サイトで最新の情報や部屋の様子を覗いてみてはどうだろう。実際に泊まった僕らが、自信を持っておすすめしたい宿です。



